短文『思い出』



『思い出』

思い出は、いっつもモノにくっついてる。
あったかくて冷たくて優しくてズルい。
見えないからって調子に乗って。
気付いた時には脳裏で笑みを浮かべてる。


今日、久しぶりに鈍行列車に乗った。
私が立っていたのはドアのすぐ横。
開いた瞬間、少しだけ体をひいた。

真っ黒なサラリーマンの肘が、私のカバンにぶつかる。
一瞬スマホから目線が離れて、駅名の看板が視界に入ってきた。
心が歩を止める感覚。
複雑な感情が走馬灯のように駆け抜けていった。

あの自動販売の横に、
反対側のホームを呆然と見つめる自分が立っている。
答えのない問いは、何度黙読したって苦しむだけなのに。
彼女はまだ気づかずに、ずっと考えている。

それは果てしなく長い時間だった。
彼女はとっくのとうに消え去ったと思っていたのに。
まさか、こんなところに留まっていたなんて。
どうせなら、もう少し身を潜めていて欲しかった。

閉まり始めるドア。
まるで誰かに助けを求めるように、
あの日よりもずっと冷たい風が生暖かい車内に滑り込んできた。


思い出は、いっつもモノにくっついてる。
あったかくて冷たくて優しくてズルい。
見えないからって調子に乗って。
気付いた時には脳裏で笑みを浮かべてる。


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内容は半分事実で半分フィクションって感じです。
今更だけど、書いたものをブログに載せるってすごく恥ずかしい。
でもこうやって人目にさらさないと上手くならない気がするんですよね。
何事も。

だから相手の見えない大海原に、繰り出してみることにしたのです。
大袈裟ですかね(笑)
でもなんてたって私は臆病者ですから。
「海賊王に俺は、、、なれますかね!!ははは」ぐらいな気持ちなのです。





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